日々のあれこれ、PC/DAW環境での音楽づくりのこと──模索と思索の航跡です。
PCで作曲する者とっての「楽器」
従来の「作曲(エクリテュール)→解釈・演奏」をPC完結型の音楽(DTMなど)にあてはめてみると、作曲家がエクリテュールを経ずに直接自らを解釈し演奏する、そんな姿を想像することが出来るでしょう。
そして、「何を使って演奏しているか」と問うならば、当然「PCを仮想楽器としてそれで演奏しているのだろう」と言われそうですが、ここで一歩踏み込んで「スピーカーを演奏しているのだ」と言ってみます。
音声合成であれ実演奏であれ、データ化してしまうと作曲素材として等価になるように、どんな現実音(や楽器や人声)や仮想音でも、音として外在化するためには必ずスピーカーという「紙と磁石で出来た空気振動装置」を経なければなりません。
ヴァイオリニストはヴァイオリンを演奏し、トランペッターはトランペットを演奏し、PCで自作自演する作曲家はスピーカーを演奏する、というわけです。
これは日頃、意識していないだけで、厳然たる事実でしょう。例えば、レコーディング・エンジニアの方は、「手元の録音素材を使って、スピーカーをいかに美しく演奏するか」ということに苦心されている人たちでもあるのだ、そんな風に言うことも出来ます。
また、エレキ・ギタリストは昔から、ギターアンプ(スピーカー)をいかに音楽的に歪ませ響かせるかにセンスを注ぎ込んできました。彼らはギターと共にアンプを持ち運び演奏へ出掛けます。彼らの「素材」は、この記事の文脈で言えば「ピックアップでの電磁変換によって得られた正弦波」です。
PCで作曲(自作自演)する者は、聴き手の持つスピーカーを音楽的に美しく響かせる演奏を生み出すことを意識する──。そうすることで、視野が変わるのではないかと思うのです。
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2007年03月25日 18:11
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