作曲・音楽理論の本

作曲法・編曲法・和声法などの理論書や、音楽理論を踏まえた専門書の紹介とレビュー。

2.本書の内容と構成

(このページは「1.意外と知られていない名著」からの続きです。詳しくは「読んで欲しいこの一冊」をご覧下さい。)

先ほども言いました様に、本書は先生向けの教育書というスタイルを持っています。ですから、先生でもない人間が本書を読むことにどれ程の意味があるのか、と思われるかもしれません。 続きを読む »

1.意外と知られていない名著

(このページは「読んで欲しいこの一冊。『音楽をつくる可能性』特集ページ」の続きです。)

作曲の中身について書かれた本と言えば、和声法や対位法、コード理論といった「理論書」か、作曲家の自伝で語られる創作エピソードといったものがほとんどだと思います。もしくは、「心の赴くまま自由につくりましょう」的な、甘口の作曲ガイドブックが見られる程度です。 続きを読む »

“型”としての作曲技術~『作曲の基礎技法』を読んで

※『作曲の基礎技法』の内容紹介はこちら。

まずこの本は、作曲の技術的側面に的を絞った技術書だと言えるでしょう。音楽としての「形」を成立させるための技術、身に付けるべき音楽の「型」といったものを、数個の音符から大規模な形式に及ぶまで具体的に説明しています。 続きを読む »

主題構造という作曲要素~『名曲の旋律学』を読んで

※『名曲の旋律学』の内容紹介はこちら。

クラシックの交響曲に代表されるような「大きな作品」の特徴は、見方を変えれば、「あの大きさにも関わらず全体がバラバラにならず、ひとつの音楽として統一感を感じることが出来ること」と言うことが可能だと思います。そして、作曲をされたことのある方なら、それがいかに困難なことかがご理解いただけるかと思います。 続きを読む »

積み上げる作曲~『作曲の基礎技法』を読んで

※『作曲の基礎技法』の内容紹介はこちら。

著者は、作曲の初心者に対して次のようなアドバイスをしています。

初心者は、これから創造しようとする楽曲を全体像として(一気に)心にえがくことは不可能である。そこで、簡単なものから複雑なものへとしだいに進めていって、最後に全体像を形成するようにしなければならない。(中略)作曲の手始めに、音楽という積木を積み重ねて、それらを知的に、たがいに関連させることからはじめるのが、もっとも効果的だと思う。 (p17) 続きを読む »

理解し、意味付けたい欲望~『楕円とガイコツ』を読んで

※『楕円とガイコツ』の内容紹介はこちら。

タイトルからはとても音楽に関する書籍とは思えないのですが、その内容は著者のこれまでの著作を包括し、かつ反省と気付きに溢れたもので、大変読み応えのあるものになっています。本書は、強いてジャンル分けするならば音楽理論書や作曲技法書といったものではなく(もちろんそういった読み方に耐え得る書籍であると思いますが)、「音楽批評」になると思われます。 続きを読む »

回答法という回答~『コード・スケール ハンドブック』を読んで

※『コード・スケール ハンドブック』の内容紹介はこちら。

スケール(音階)に関する理論の多くは次の様な要請から生まれています。ある和音が鳴っているとき、旋律にはどのような音の可能性が有るのかというものです。逆に、旋律から和音の可能性を導くことも考えられます。しかし、これらはスケール概念の一側面に過ぎないのですが、多くの本はこの先までは触れません。大抵、「長調の I 度の和音にはイオニアンかリディアン・スケールが用いられる」といった対応を示して、コードとスケールの羅列に終始しています。 続きを読む »

ワイルドカード・コンセプト~『リディアン・クロマティック・コンセプト』を読んで

※『リディアン・クロマティック・コンセプト』の内容紹介はこちら。

作曲者が様々な体系的な音楽理論に触れることのメリットには、作曲時の音楽的思考に際して様々な音楽イメージの座標系(ものさし)を持ち込めるというものがあるでしょう。逆にいえば、体系的な音楽理論(作曲法タイプ)というものは、発案者の音楽イメージに現れる傾向を、システム(理論体系)にまで高めたものだということが出来るのではないでしょうか。 続きを読む »

新たな調性世界を求めて~『ブルー・ノートと調性』を読んで

※『ブルー・ノートと調性』の内容紹介はこちら。

「ブルース」という音楽に対する疑問の数々は、「ブルー・ノート」に対する疑問として集約されるでしょう。今までにも数々の音楽家や音楽学者らによって様々な形で解明しようとされて来ました。しかし理論的追求を行うと、その音楽としての魅力はたちまち失せてしまい、単なる観察結果になりがちで、ブルースという音楽を捉えるには至っていません。結局、ただ指をくわえて音楽に浸るしかないものでした。 続きを読む »