図書館の底力を味わう

私は、読書や資料探しや気分転換などに図書館をよく利用します。県の図書館政策が盛んなお陰で、今までに色々な絶版本や趣味性の高い本を読むことが出来ました。どうも、県民一人あたりの年間貸し出し冊数が全国トップクラスらしく、どちらが鶏で卵なのかは分かりませんが、一度に借りられる冊数も10冊三週間という嬉しいものになっています。

古都京都に住む友人にそのことを話すと大変羨ましがられました。友人曰く、京都は文化不毛の地だそうで、芸術文化に対する助成制度も貧弱な上、図書の収蔵に至っては大学に任せっきりだったので、一般の人達が読める本は限られているそうです。「高校の図書室レベルの図書館」という言葉を耳にした時には、我が県の有り難味を思う以上に薄ら寒いものを感じました。

そんな古都を尻目に、近年、県の図書館の蔵書検索サービスが新しくなり、インターネット経由で書庫検索や貸し出し状況が分かるようになったので、ますます便利になりました。この様に色々とサービスがあるのですが、今までに意外と利用してこなかったものがありました。

それは、「リクエスト・サービス」というものです。蔵書に無いものは全国の図書館に照会して取り寄せてもらえるのです。もし無くても、審査の上で購入してもらえる道もあります。今までは大抵、検索すれば出てきたのですが、今回はそう言う訳には行きませんでした。「古本屋めぐりは大変だなあ・・・。そもそも書名を間違って覚えていたのかなあ」と思っていた時、ふとこのサービスを思い出したのです。渡りに船とはこのことです(笑)。

早速、受け付けカウンターで館員の方に調べてもらいました。先ずは国会図書館のデータベースにあたって本の素性を明らかにします。探していた本はパーシケッティ著「20世紀の和声法」だったのですが、はじめ「和声”法”」を「和声”学”」だと記憶違いしていたので、館員の方をてこずらせてしまいました。ネット上のサイトやBBS等では皆「学」になっていたので、てっきりそうだと思っていたのですが、まさかこんなところでネット情報の信憑性に足を取られるとは思いませんでした(笑)。ちなみに、この本は四十年前に出版されていたもので、当然絶版されていました。

そんなこんながありながらも無事に手続き終了です。その後、二週間弱ほどで連絡が入り、無事に手元に届きました。貸し出し元は茨城県の図書館でした(茨城県民に感謝)。こういう時が「税金がちゃんと使われている」と思える時ですね。

言い尽くされてきたことですが、ほんの少し手間をかければ図書館は素晴らしい情報倉庫に成り得ます。ちなみに私の場合は、幸い図書館に無料駐車場があるお陰で、遠い距離にもかかわらず利用させてもらっています。もし近所に町の図書館があるというラッキーな方は、絶版や品切れに関わらず是非リクエスト・サービスを活用されることをおすすめしますよ。