『和声の歴史』
ブック・レビュー
和声はハーモニーと呼ばれ、翻訳すると「調和」となります。本書では和声を機能和声(調性和声)の枠組みだけで捉えるのではなく、調和を表しそれを司るものとして、その歴史を辿ります。言うなれば、音楽の歴史をつらぬく長い線として、和声を見てみようということです。
その歴史の道のりは10世紀から、概説を含めると5~6世紀ごろから始まります。最初期に見られる和声は、言わば「音程の和声」と呼ばれるもので、コンスタントに4度、5度の関係を持った旋律が併行して行くものです。こういったところから和声の歴史を辿る訳ですが、そのことによって、機能和声の時代の位置付けが明確なものになると思います。
本書の出版は30年以上も昔ですが、和声のトレンドを追ったものではないので、今なお示唆に富んだものと言えます。よく言われることですが、「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」とあるように、日頃の失敗から学ぶことと併せて、歴史からも多くを学びたいものです。
関連情報
『和声の歴史』
オリヴィエ・アラン 著
出版社:白水社(ISBN:4560054487)
発行日:1969年3月5日
サイズ・価格:151ページ ¥951(税別)
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本書の目次
- 訳者まえがき/日本の読者へ/はしがき
- 第一章 概論
- 符号と略号/専門用語の定義/旋法/和音
- 第二章 音程から和音へ
- 起源/十世紀から十二世紀/十三世紀/十四世紀/十五世紀
- 第三章 和音から調性へ-ルネサンス期の和声(十六~十七世紀)
- 要約/旋法が長調と短調にまとまること/長調と短調の特徴/器楽の影響/音律の問題/通奏低音と即興和声/発展/一七二二年以前の音楽家
- 第四章 調性和声-平均率音楽の二世紀、拡大と綜合(十八~十九世紀)
- 要約/新しい発見/ラモーの理論/種々の考察/平均率空間の征服/フーガと調性プラン/代表的な音楽家の和声(十八世紀)/同(十九世紀)/旋法と調性/調性のたそがれ
- 第五章 飽和と超越
- 総決算-音高の和声の最終的合理化/最終発展段階の諸相/平均率空間の飽和/音列の超越-微分音主義
- 第六章 展望
- 結論/参考書目
著者について
オリヴィエ・アラン
著者のオリヴィエ・アラン氏は、1918年8月、パリ近郊のサン=ジェルマン・アン・レに生まれた。オルガニストを父とし、夭折した作曲家のジャン・アランと、オルガニストのマリ・クレール・アランを兄妹にもつ音楽一家の出身である。第二次大戦後、パリ国立音楽院にはいり、作曲とアナリーゼのクラスでそれぞれ一等賞を得、現在はセザール・フランク音楽学校の校長をつとめる一方、フィガロ紙の音楽批評を担当し、多方面に活躍している。(本書より引用)
次の本:『ポピュラー音楽の基礎理論』
前の本:『音楽史17の視座』