作品解説
星を待つ丘
夕暮れから闇夜へと移り行く中、空を見上げて星を待つ者の心の様子(心に去来したものや心象風景)を音楽にしてみようと考えました。スタイルとしては、シンセによる無言歌という位置付けです。
自然を前にしたときのセンチメンタルな気分に潜む、静かでいながらも強い“心のざわめき”を思い起こしながら作曲を進めました。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2009年 | 星を待つ丘 | MP3 | 2分46秒 | 管弦楽曲+α | オーケストラ、シンセサイザー |
冒険浪漫賛歌
冒険そのものを描くのではなく、冒険を想起し憧れるロマンティックなムード(気分)について思いを巡らしながら作曲しました。しかし結果論ですが、想像の世界での冒険譚を戯画的に描いたものになったと言えるかもしれません。
いくつかのメロディー未満の断片的な素材を用意して、それを前景・後景の各所で執拗に繰り返して行きますので、印象的には“展開する”音楽というより“移行していく”音楽ではないかと思います。
作曲する側にとっては、ダイナミックレンジの広さがもたらす表現力はとても魅力的なものです。その面からもオーケストラサウンドは探究心を刺激される世界であり、興味は尽きません。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2009年 | 冒険浪漫賛歌 | MP3 | 6分57秒 | 管弦楽曲+α | オーケストラ、シンセサイザー |
輝石
歌手の葉月ゆらさんとのコラボレーション作品です。葉月さんの歌声と自分の音楽の組み合わせを考慮したとき、真っ先に浮かんだのが「ミュージカルやオペレッタのソプラノ曲」でした。
今回はシンプルな楽曲形式にして、響きは表面的には奇をてらわず、細部に配慮しつつ構成にダイナミクスを付け、葉月さんの歌の良さの引き立て役に徹しました。表キーワードは「美麗な音楽」、個人的なキーワードはそれプラス「コクのある曲をつくる」でした。微力ながら、葉月さんの歌の魅力が少しでも伝えられれば幸いです。
〜 輝石 〜
作詞:葉月ゆら
窓辺に佇む優しい天使よ
広げた翼 揺れる其の髪
私の手を取り誘う帳へ
冥府の底に導いて欲しい
あの人を救い出す為の贄になろう
痛みも苦しみも全てを受け入れる
恋した日々だけが 輝き 色褪せない
記憶は剣へと変わり胸を刺す
嗚呼 堕ちて行く 導いて闇の賢者よ
壊れた世界に咲く一輪の薔薇
願いは潰え 破滅の輪へと
束縛の鎖 解き放たれた悲劇
摂理をも破って蘇れその命
愛した日々達が 揺らめく蜃気楼
掴めぬその姿 追い駆けるの
恋した日々だけが 輝き 色褪せない
記憶を刻んだら 明日へと生きよう
夜は明ける
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008年 | 輝石 (作詞・歌/葉月ゆら) | MP3 | 4分31秒 | オーケストラ歌曲 | 歌、オーケストラ |
紺碧に浮かぶ想い
モチーフとなるフレーズを共有するオーケストラとシンセ、それぞれの流れが距離を取りながらも交錯しつつ進んで行きます。前作に続き、自身の音楽時間感覚と向き合いながら、自分流の時間構成を模索しています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008年 | 紺碧に浮かぶ想い | MP3 | 7分47秒 | 管弦楽曲+α | オーケストラ、シンセサイザー、その他 |
越後獅子の庭
全編にわたって執拗に変奏を続ける三味線と、不規則に停滞と変化を繰り返すリズムパート、これらの絡み合いを通じて自分流の時間構成を模索してみた曲です。いわゆる「イントロ〜Aメロ〜」や「3部形式」といった既存の形式枠に囚われないよう、自分の時間感覚と向かい合うことを念頭に置きました。
作曲中に想定していたのは、月を見上げながら歩いたときに感じる「月が自分に付いてくる感覚」のような停止感(滞留感)と、「目を下ろして周りを見渡したときの景色の変化」というギャップ(断絶)感です。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008年 | 越後獅子の庭 | MP3 | 6分37秒 | テクノ | 三味線、唄、シンセサイザー、その他 |
交響詩「幻景の杜」
作曲に際しては、冒頭のメロディーとリズムのモチーフをミニマル的に扱いながら、そこへ劇(ドラマ)的な表現を交えていきました。
ちなみに曲名は、「幻の森」という意味だけではなく、「個々の幻が、森(杜)のように茂っている」というニュアンスを含ませて名付けました。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2007年 | 交響詩「幻景の杜」 | MP3 | 28分52秒 | 管弦楽曲 | オーケストラ、金属系打楽器 |
見晴るかす風と共に
オーケストラによる小品です。流れ移ろい行く静謐感を響きにしようと試みました。冒頭のモチーフ音型を軸にしつつ、縦の響きの透明感を意識して構成しています。短いサイズながらもストーリー性を感じられるのではないかと思います。
この曲に限ったことではありませんが、作曲に際しては、いくつかの旋法(モード)を元に音集合を操作しつつフレーズの組み立てやボイシングをしています。個人的には、こういった和声の響きを意識した音楽を作曲することを通じて、今一度、自らの和声感覚の嗜好や志向と向き合おうと考えています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2007年 | 見晴るかす風と共に | MP3 | 4分21秒 | 管弦楽曲 | オーケストラ |
積み上がる姿
全編7拍子で演奏されるミニマル風の曲で、ストリングスとピアノが中心になって進んで行きます。ピアノのリズム・パターンを曲の背骨のように響かせながら、減衰系の音色と共に全体を構成しています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2006年 | 積み上がる姿 | MP3 | 6分02秒 | ミニマル・ミュージック | ピアノ、ストリングス、その他 |
祝祭の記憶
オーケストラ(マーチング・バンド風)・サウンドを軸にしたコラージュ的な音楽です。「思い返し味わい直す」という行為とその気分(ムード)に関する音楽です。
各々の音楽場面の間にはモチーフの関係性もある程度ありますが、むしろ脈絡を半ば無視しつつ、唐突な併置や切り替わり、断絶感といったものを強調しようと作曲しました。緩い連関のあるフラッシュバックの連続とも言えます。
「祝祭」をテーマにした“静・動”それぞれのモチーフ(聖歌、祭囃子など)がいくつか現われますが、その中の「空虚なマーチ」の存在は、今にして思えばチャールズ・アイヴスからの影響が強かったことを示しているように感じます。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2005年 | 祝祭の記憶 | MP3 | 12分09秒 | 管弦楽曲 | オーケストラ、男声合唱、その他 |
ラジオと月と
オルゴール風の小品です。とまどいがちにAMラジオから聴こえてくる、そんな音楽です。
調性の緩い縛りの中で揺れ動く単純な伴奏と、シンプルな音階を逸脱しながら紡がれる旋律とを、模糊とした音色で静かにまとめてみました。一般的な機能和声の部分と、和音の前後の差異を感覚的に調節する部分とを織り交ぜながら、穏やかな不安定感を出そうと試みています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002年 | ラジオと月と | MP3 | 2分07秒 | アンビエント | シンセサイザー |
盆石(ぼんせき)
シンプルなミニマル・テクノです。音色はモノ・トーンながらも、物語的な展開が感じられるように構成しました。
この曲の制作には「skewl」というパターン・シーケンサー付きのリズム・マシーンを使用しました。シーケンサーを走らせながらパラメータを徐々に変化させるという、この分野の常套手段を用いています。その意味では、即興演奏の一種と言えるかもしれません。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002年 | 盆石(ぼんせき) | MP3 | 7分33秒 | ミニマル・テクノ | シンセサイザー |
永久音楽劇場
単純なリズム・コラージュによる小品です。打ち込みで制作したコーラスとストリングスが、それらリズムに翻弄されながらもまとわり付きます。
相互の脈絡を無視してリズム素材を並べ、そこにクラシカルで比較的明瞭な和音を響かせながらそれを徐々に変化させています。それとなくリズムとハーモニーがかみあっている様に聴こえたり、お互いに拒絶したりしているような場面があったりと、なんとも腰の据わらない曲になっています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002年 | 永久音楽劇場 | MP3 | 4分00秒 | コラージュ | ドラム、合唱、弦楽 |
探さずに歩けと言った
音響系アンビエント?といった雰囲気の曲です。レトロな雰囲気の漂う音色や正弦波をそのまま用いた、ある時代のある種の音楽へのオマージュとも言えます。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002年 | 探さずに歩けと言った | MP3 | 4分26秒 | エレクトロニカ | シンセサイザー、弦楽、声、その他 |
千日の相剋
オーケストラ曲です。当時、自分なりに「おたまじゃくしでの作曲(エクリチュール)」を徹底してみたものです。フレーズや和音やリズム等の各種モチーフ、テーマ、そういった諸々の要素を意識的に操作するという、西洋音楽の作曲の王道に身を置いてみることが第二の目的になっていました。
部分的には今でも気に入っているところもありますが、結果としては、ぎこちなさや間延びや進め急ぎといったアラが目立つ出来になってしまったことは否めません。しかし、この場所を経ることで見えてきたことや身についたことも多く、現在では「一里塚」的な作品だと思っています。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2001年 | 千日の相剋 | MP3 | 28分41秒 | 管弦楽曲 | オーケストラ |
わだかまる声
わだかまる「言葉」ではなく、わだかまる「声」です。用いる音素材を絞り、あくまでも構成された曲であることを目指しています。
これは制作中、「音楽的に感じるかどうか」を自問し続けることで出来上がった曲で、音楽的な前進感や停滞感やある種の色彩感といったものを、具体音の集まりだけで表現しようと試みました。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2001年 | わだかまる声 | MP3 | 3分33秒 | ミュージック・コンクレート | 声(女性) |
悲しみは執着を暖める
沈み込んで行くような曲想の、メランコリックなピアノ曲です。
テーマが若干の変化を伴いながら繰り返される前半部と、同じく短調のケーデンスが繰り返される後半部と、全体に繰り返しの多い沈滞した雰囲気の強い曲です。その結果、ある種の葬送行進曲のような音楽として聴こえるかもしれません。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000年 | 悲しみは執着を暖める | MP3 | 5分20秒 | ピアノ曲 | ピアノ、シンセサイザー、その他 |
重力の都
「我流のテクノ」とでも言うような曲です。物憂い気だるさのような気分が伝わるでしょうか。
この曲は、濱瀬元彦氏の『ブルー・ノートと調性』理論を自分なりに咀嚼し、それを自分の響きに取り込む試みでもありました。任意の音集合と音階との関係から生じる音楽的質感やそれらの変化(価値)に注目することなど、大きな影響を受けました。
| 作曲年 | タイトル | 試聴 | 時間 | ジャンル | 編成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000年 | 重力の都 | MP3 | 5分49秒 | テクノ | シンセサイザー |