音楽史の本
レビュー『音楽史と音楽論』柴田南雄 著
大変に個性的な音楽史の本です。
冒頭ではタイムスケールが縄文時代(石器時代)から始まり、考古学的に史実を列挙しながら音楽文化の変遷を追っていき、そのまま古墳時代・飛鳥・平安・鎌倉さらにその先の各時代へと、同時期の西欧の文化状況との比較考察が続いていきます。 続きを読む »
レビュー『事典 世界音楽の本』徳丸吉彦/高橋悠治/北中正和/渡辺裕編
「世界音楽の本」という書名を見たときに先ず思い描くのは、ゴスペルやレゲエやラテン音楽、他には中東やアフリカ等々の世界中の音楽について、その音楽的特徴や成立過程の解説と参考音源の紹介がなされた本、各ジャンルの基本情報を網羅した本、といったところではないでしょうか。 続きを読む »
レビュー『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』岡田暁生 著
素晴らしい意欲作です。学問的な精密さや正しさを追及したものや、歴史人物たちの解説に留まりがちな音楽史の本の中で、本書は異彩を放っています。本書では“西洋(芸術)音楽”のことを「楽譜に記録された音楽」として捉えることを通じ、その各時代の社会情勢や社会構造、社会的・文化的階層をしっかりと踏まえ、音楽史の流れを大胆に物語っています。 続きを読む »
レビュー『ポピュラー音楽の基礎理論』ピーター・ファン=デル=マーヴェ著
本書の「イントロダクション」にもある通り、この本は表面的な様式的特徴、すなわちピッチ、テンポ、音量、楽器編成等など、ポピュラー音楽業界が黄金時代のヒット曲の数々を目新しく見せかけるために使ってきた一般的なあの手この手を、分析する本ではありません。 続きを読む »
レビュー『和声の歴史』オリヴィエ・アラン著
和声はハーモニーと呼ばれ、翻訳すると「調和」となります。本書では和声を機能和声(調性和声)の枠組みだけで捉えるのではなく、調和を表しそれを司るものとして、その歴史を辿ります。本書の言葉を借りれば、音楽の歴史をつらぬく長い線として、和声を見てみようということです。 続きを読む »
レビュー『音楽史17の視座』田村和紀夫、鳴海史生 著
歴史を紐解くということは、現在に至るまでの流れを理解することによって「今」を知り、そのことを通して普遍的なものを見付けること、と言えるかもしれません。音楽史を紐解く時にも、同じような欲求があるのでしょう。そして、それに答えてくれる音楽史の良書も世の中に存在します。 続きを読む »
レビュー『精神と音楽の交響』今道友信 編著
西洋音楽美学の歴史を俯瞰できる構成で編まれた、音楽美学の研究論文集です。編者は今道友信氏で、今道氏は美学解説の名著のひとつ『美について』(講談社新書)の著者でもあります。 続きを読む »
レビュー『音楽美学入門』国安洋 著
本書は音楽美学の歴史とその概要を網羅し、それらへの解説と批評がなされている、今なお優れた入門書でありガイドブックです。著者は本書を指して「音楽美学序説」と呼んでおり、読者はここからそれぞれの“本論”へと進んで行くことになります。 続きを読む »