作曲について語る
回答法という回答~『コード・スケール ハンドブック』を読んで
スケール(音階)に関する理論の多くは次の様な要請から生まれています。ある和音が鳴っているとき、旋律にはどのような音の可能性が有るのかというものです。逆に、旋律から和音の可能性を導くことも考えられます。しかし、これらはスケール概念の一側面に過ぎないのですが、多くの本はこの先までは触れません。大抵、「長調の I 度の和音にはイオニアンかリディアン・スケールが用いられる」といった対応を示して、コードとスケールの羅列に終始しています。 続きを読む »
ワイルドカード・コンセプト~『リディアン・クロマティック・コンセプト』を読んで
※『リディアン・クロマティック・コンセプト』の内容紹介はこちら。
作曲者が様々な体系的な音楽理論に触れることのメリットには、作曲時の音楽的思考に際して様々な音楽イメージの座標系(ものさし)を持ち込めるというものがあるでしょう。逆にいえば、体系的な音楽理論(作曲法タイプ)というものは、発案者の音楽イメージに現れる傾向を、システム(理論体系)にまで高めたものだということが出来るのではないでしょうか。 続きを読む »
新たな調性世界を求めて~『ブルー・ノートと調性』を読んで
「ブルース」という音楽に対する疑問の数々は、「ブルー・ノート」に対する疑問として集約されるでしょう。今までにも数々の音楽家や音楽学者らによって様々な形で解明しようとされて来ました。しかし理論的追求を行うと、その音楽としての魅力はたちまち失せてしまい、単なる観察結果になりがちで、ブルースという音楽を捉えるには至っていません。結局、ただ指をくわえて音楽に浸るしかないものでした。 続きを読む »