うたた寝とサウンドスケープ

先日、地元にある温泉施設「ゆらら」へ行って来ました。そこの存在は以前から知っていたのですが、出掛けたのは今回が初めてでした。

ここは館内設備がゆったりとつくられており、玄関ホールからいきなり広さを感じさせる作りです。一応そこは交流スペースという名目で、中央にはベンチが、奥の窓際には多くのソファーがしつらえてあります。こうしてみると、なんだか大型美術館のロビーのような佇まいなのです。

さて、受付を済ませて二階へ上がると、座敷タイプのまずまず広い休憩所が見えてきます。休日ともなると凄い混雑なのでしょうが、私が出掛けたのは平日の昼間でしたので、気兼ね無くくつろぐことが出来ました。

で、そこそこ広めの脱衣所を経て、肝心の風呂の広さですが、これがやや小振りというのがご愛敬。とは言え、サウナや寝湯など、ポイントは押さえられているので不満は無かったです。

本題は温泉紹介なのではなく(笑)、休憩所でうたた寝をしていたときのサウンドスケープ体験のことです。

周囲から聞こえてくる会話や各種の音を、自分なりのパルスに重ね合わせることで、ミュージックコンクレート(具体音楽)を引き出すことが出来るわけですが、今回の休憩所のようなシチュエーションだと、少ない会話の断片が絶妙な距離感と明瞭感でもって残響を伴い耳に入ってくるのが面白いところです。

10メートル近く離れた人たちの会話や、カーペットを歩く足音、通奏低音のようなテレビの音など、それらが小さな音でルームリバーブを伴いながら、かつ明瞭にこちらに届くという、そんな「音素材としての面白さ」に気づかされるうたた寝でした。