読書三昧

ここしばらく、音楽に関する本を読む機会が少なかったのですが、脳科学などの別分野の本を通じて、そこから興味深い音楽書籍に出会うことが増えてきました。おかげで近頃は時間が空いたら読書三昧という状況です。

これまで人間の創造性に関しては、人文科学(哲学、芸術学)や社会科学と呼ばれるフィールドにおいて研究がなされてきた面が大きいわけですが、ここ最近は脳科学をはじめとした自然科学からの研究が目立ってきており、とても興味深いところです。

ちなみに、そんな中でキーワードとして面白いなと思ったのは、茂木氏の「クオリア」です。

さて、人文系の研究でここ数年の大きな変化だと思うのは、ポピュラー音楽(いわゆる大衆音楽と呼ばれてきたもの)を、文化のダイナミクスの大きな要素として正面からとらえ考察されるようになってきた点だと思います。

増田聡氏や烏賀陽弘道氏をはじめとしたポピュラーミュージック論は、資料の扱いの厳密性や視点の確かさに支えられた骨太な考察となっています。こういった本に触れると、「音楽を“研究”する土台は西洋音楽(いわゆるクラシック)」という暗黙の事項に対する自覚不足に気づかされる思いです。

と同時に、自分がリアルタイムで見たり体験してきた、制作の「物心両方の環境」の必然性のようなものが、もやの中から見えてくるかのようです。

音楽の“作品”とは何か、「本物の音」や「生の音」といった概念の内実とは何か、など、これらの疑問を疑問たら占めていた前提を考え直す必要がありそうです。

がむしゃらに進んできた自分の足元を確認するとき、そのときに用いる地図というものを有効なものにしておくためにも、地図の更新を怠ってはいけないと感じた次第です。