ハイセンスな仕事ぶりに感動。『新オバケのQ太郎』のテーマ
マイカーのFMラジオから聞こえてきたサウンドとグルーブ感に、頭をガツンとやられた感じです。
その曲は『新オバケのQ太郎(1971年)』のテーマ。「あのねQ~太郎はね~(オバケのQ太郎はね)、頭~に毛が三本しか無いん~だよ~」という歌詞で思い出される方も多いでしょう。
ゴージャスなビッグバンド+男性コーラスサウンドで奏でられる、そのブルージーでハイクオリティな演奏からは、微妙にスイングした重いグルーブ感が醸し出されていて大変魅力的です。
歌は声優の堀絢子で、彼女の「鼻にかかるような」、それでいてタップリと伸びのある歌声とその歌唱力は聴き応えがあります。作曲は山本直純。氏の活動履歴を考えれば“なるほど”の出来栄えということですね。
演奏陣も華やか。管楽器のソリッドでパワフルなリズム感、リズム隊の自在な揺らぎなど、当時のスタジオミュージシャン達の実力をかいま見る思いがします。
パートの最後にあるセリフ「だけどカッコイイつ~もりな~んだってっさ!」はもちろんのこと、男性コーラスによる「はらほれはれ!」という合いの手フレーズまでもがバッチリとグルーブしていているのも好感度大なのです。
また、曲の構成に関して言うと、とてもシンプルなブルース形式に則っているのが興味深い点です。定型の12小節+セリフ部というパターンです。もちろん締めのコードはV7-IV7-I7で、ここの男性コーラスの響きは素晴らしい。
メロディーだけを聴くと、ペンタトニックによる典型的な日本のコミックソングといった印象にも関わらず、伴奏がブルーノートを効果的に用いた半音階的なうねりを持っているため、全体としてブルージーな濃厚さのにじみ出る独特の曲に仕上がっているのです。
音楽の味わいは、いつ何処で実感されたりよみがえったりするか全く分からないものだと再確認しつつ、子供の頃に味わい損ねていた音楽に注意深くなってみようと思うのでした。