言葉に導かれる音楽記憶
「個々の音楽パーツを表現する言葉」が喚起するイメージを、おもちゃのブロックのように組み立てたり、色紙を組み合わせてタペストリーをつくったりするように扱い、新たな音楽を構成するという方法。
「粘っこいブルース・フレーズ」、「矩形波によるピコピコサウンド」、「ノン・ダイアトニックなトライアドによってハーモナイズ」、「木管楽器が醸し出す牧歌的な何か」、「ポリ・モーダリティーに偶発するコーダル感を尊重する」、「踊りづらいワルツ」、etc.……。
そういった直接的な言葉のみならず、あらゆる文章や言葉たちから引き出される音楽の記憶と、それらを組み合わせるプロセス内に立ち上がってくる創造性のおもしろさ。
私は、他人の音楽を聴いている最中は勿論のこととしても、それよりも読書や対話のなかで起こる作曲のプロセスに興味と魅力を感じることが増えたように思います。広い意味でのインスパイアーを受けるとでも言いましょうか。
自分の中でグツグツと煮られていた音楽記憶が、自分の表現として引き出されようとしている表れと捉えるならば、心楽しいものがあります。