レビュー『リズムの法則』ミッキー・アーンショウ著

リズムというものを、時間を区切る「パルスの連続」だと考えたとき、そこには「数」の世界とのつながりが見えて来ます。本書は、二進数の考え方をリズムに持ちこみ、単純なリズムに隠された可能性や、ポリ・リズムへの応用を説いて行きます。

例えば、4/4拍子の1小節に4分音符が4つある状態を、16部音符を基準パルスとして二進数で表記すると、次の様になります。「1000 1000 1000 1000」 同様に8分音符のウラが4つある状態だと、「0010 0010 0010 0010」と、なります。「1」のタイミングで音が鳴るという訳です。

これを活用すると、三連符が合理的に説明出来たりします。1小節を三等分する「4拍三連」も次のように二進数で表してみると、納得できるでしょう。「100 010 001 000」

著者は、「1000」や「010」等の二進数のまとまりを、モジュールと呼んで説明をしています。このモジュールは5桁や9桁など、柔軟に発想して行けるものです。そして、既成の音楽に見られるリズムをモジュールに分解してみる、ということも可能になってきます。このように、本書はリズムに対する発想を広げるための、興味深いガイドとなるでしょう。

書籍情報

『リズムの法則』
ミッキー・アーンショウ 著
出版社:リットーミュージック(ISBN:4845600951)
1995年7月15日第1刷発行
サイズ:172ページ

『リズムの法則』の目次

  • はじめに
  • 第1章:基本コンセプト
  • 第2章:リズム譜と用語の定義
  • 第3章:リズム練習
  • 第4章:様々なタイプのリズムを解析
  • 第5章:リズムとパーソナリティの変化
  • 第6章:リズムへのモジュラー・アプローチ
  • 第7章:リズム・サイクル
  • 第8章:リピート・ユニットを作るジェネレイター
  • 補遺/用語解説/課題を解く鍵/索引