最近の記事
読書三昧
ここしばらく、音楽に関する本を読む機会が少なかったのですが、脳科学などの別分野の本を通じて、そこから興味深い音楽書籍に出会うことが増えてきました。おかげで近頃は時間が空いたら読書三昧という状況です。 続きを読む »
まずは文章の世界から
音楽であれ何であれ、作者が「出来た(もう、これでいい)」と思った時点のものを作品として提示するというスタイルについて、私自身あまりにも当たり前に思い込み過ぎていた気がしています。 続きを読む »
このブログのスタンスを考えてみる
自分の中の曖昧なもの、不明瞭な気分や感情──、そういったものを自分なりの言葉にして“自分の外”に一端置いてやることで、それまでには気づいていなかった別のものが顕在化するものです。 続きを読む »
レビュー『クレーの絵と音楽』ピエール・ブーレーズ著
作曲における“秩序”とは、どういった意味を持つものなのでしょうか。秩序をそれ単独として思索するのではなく、そこからどの様な音楽を“演繹”するのかと問うたならば、秩序の遵守から生み出されるものとそれ以外のものとの“ゆらぎ”によって、結果として「秩序から多様性が生み出される」という事実に気付くものなのではないでしょうか。 続きを読む »
レビュー『ポピュラー音楽の基礎理論』ピーター・ファン=デル=マーヴェ著
本書の「イントロダクション」にもある通り、この本は表面的な様式的特徴、すなわちピッチ、テンポ、音量、楽器編成等など、ポピュラー音楽業界が黄金時代のヒット曲の数々を目新しく見せかけるために使ってきた一般的なあの手この手を、分析する本ではありません。 続きを読む »
レビュー『和声の歴史』オリヴィエ・アラン著
和声はハーモニーと呼ばれ、翻訳すると「調和」となります。本書では和声を機能和声(調性和声)の枠組みだけで捉えるのではなく、調和を表しそれを司るものとして、その歴史を辿ります。本書の言葉を借りれば、音楽の歴史をつらぬく長い線として、和声を見てみようということです。 続きを読む »
レビュー『音楽史17の視座』田村和紀夫、鳴海史生 著
歴史を紐解くということは、現在に至るまでの流れを理解することによって「今」を知り、そのことを通して普遍的なものを見付けること、と言えるかもしれません。音楽史を紐解く時にも、同じような欲求があるのでしょう。そして、それに答えてくれる音楽史の良書も世の中に存在します。 続きを読む »
レビュー『リズムの法則』ミッキー・アーンショウ著
リズムというものを、時間を区切る「パルスの連続」だと考えたとき、そこには「数」の世界とのつながりが見えて来ます。本書は、二進数の考え方をリズムに持ちこみ、単純なリズムに隠された可能性や、ポリ・リズムへの応用を説いて行きます。 続きを読む »
レビュー『音と音楽の基礎知識』大蔵康義 著
「音(音響)の基礎知識」という内容の本はよく見かけます。「音楽の基礎知識」という内容の本も同様によく見かけます。そんな中、その双方を一冊にまとめ上げたのが本書「音と音楽の基礎知識」です。 続きを読む »
レビュー『サウンド・エシックス』小沼純一 著
現在、身の回りに当たり前のものとして存在し、終始鳴り響いている“音・音楽”ですが、本書では、日常の環境の一部であるがゆえに見過ごしていること、一般的に省みられないことを丁寧に取り上げながら、「どこからどこまでが音楽なのか」という、いわば音楽の輪郭(へり)について問題提起をしながら、この著者独特の語り口で「音楽文化論」を説いていきます。 続きを読む »
レビュー『音楽のリズム構造』G・W・クーパー/L・B・マイヤー共著
西洋クラシック音楽を対象にしたリズム論の古典的名著です。“リズム”という概念の枠組みを明確にしつつ拡大し、音楽のリズム構造についての理論を体系付ける試みがなされています。実例(最後はトリスタンとイゾルデの抜粋)を取り上げながら分析を進めると共に、作曲におけるリズムの視点にも言及しています。なお、本書は1968年に出版されたもの新訳です。 続きを読む »
レビュー『音楽の認知心理学』リタ・アイエロ編著
認知心理学および教育学、美学などの専門家たちによる、音楽をテーマとした研究論文集です。教育学の章などでは、心理学の実験現場からのレポートとしての色合いが濃く、音楽の心理学的アプローチの実際を垣間見ることが出来ます。 続きを読む »
レビュー『音楽をつくる可能性』ジョン・ペインター著
本書は、作曲において大切なものに気付き、目を向け、そしてそれを身に付けるために役立つ、具体的なアドバイスや実践法が書かれた稀有な本です。基本的に西洋音楽を土台としていますが、その理念は分野や国籍を超えたものとして読むことが可能です。 続きを読む »
レビュー『バルトークの作曲技法』エルネ・レンドヴァイ著
本書は、バルトークの音楽作品の特徴を「黄金比」「フィボナッチ数列」によって捉え分析を行った研究書です。「弦・打・チェレスタのための音楽」や「ピアノコンチェルト」「ミクロコスモス」など、代表作を譜例を交えて取り上げながら、バルトーク独自の方法論を明らかにしていきます。 続きを読む »
レビュー『管弦楽法』ウォルター・ピストン著
現在出版されている管弦楽法の書籍の中で、入手のしやすさ、内容の充実度、価格面、プラスアルファを考慮した際、まず安心してお勧めできるのが本書です。 続きを読む »
レビュー『コンプリート・アレンジャー』サミー・ネスティコ著
著者は、アメリカの著名なアレンジャーであり、カウント・ベイシー楽団の後期におけるアレンジを手掛けた他、テレビ音楽や映画音楽界の大御所と呼ばれる人物です。それだけに本書はアレンジの実例を挙げながら終始実践的なスタンスで書かれており、編曲における要請に対してどのようなアプローチで解決して行けばよいか、その心構えといったところから書かれています。 続きを読む »
レビュー『実践コードワーク理論編』篠田元一 著
ポピュラー系の音楽理論書の定番と言われる本です。著者の篠田元一氏は、キーボードマガジン誌の連載時代からその音楽理論解説には定評があり、本書はその経験と成果を体系的にまとめ上げた一冊と言えます。 続きを読む »
レビュー『精神と音楽の交響』今道友信 編著
西洋音楽美学の歴史を俯瞰できる構成で編まれた、音楽美学の研究論文集です。編者は今道友信氏で、今道氏は美学解説の名著のひとつ『美について』(講談社新書)の著者でもあります。 続きを読む »
レビュー『音楽美学入門』国安洋 著
本書は音楽美学の歴史とその概要を網羅し、それらへの解説と批評がなされている、今なお優れた入門書でありガイドブックです。著者は本書を指して「音楽美学序説」と呼んでおり、読者はここからそれぞれの“本論”へと進んで行くことになります。 続きを読む »
レビュー『音楽する精神』アンソニー・ストー著
副題に「人はなぜ音楽を聴くのか?」とあるように、本書は音楽と人間との根源的な関わりについて論じた骨太な音楽論です。古くはイデア論からショーペンハウアーを経つつ、新しいところではグリフィスやダールハウス、ランガーなどの論考を参照しながら、音楽を享受する喜びの源のことや作曲という創作の謎に踏み込んで行きます。 続きを読む »