ブックレビュー

知的好奇心や学習意欲に応える本を集めてレビュー。評論から専門技術書まで、硬軟織り交ぜて取り上げています。

サブカテゴリー
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作曲・音楽理論の本
管弦楽法の本
音楽史の本
作曲家が語っている本
「作曲発言集」

レビュー『音楽史と音楽論』柴田南雄 著

大変に個性的な音楽史の本です。

冒頭ではタイムスケールが縄文時代(石器時代)から始まり、考古学的に史実を列挙しながら音楽文化の変遷を追っていき、そのまま古墳時代・飛鳥・平安・鎌倉さらにその先の各時代へと、同時期の西欧の文化状況との比較考察が続いていきます。 続きを読む »

レビュー『オーケストラ』アラン・ルヴィエ著

本書は、管弦楽法の歴史のガイドブックであり、各時代の作曲家たちの実践のダイジェストであり、管弦楽法の変遷の概要を示すものです。 続きを読む »

レビュー『大作曲家が語る 音楽の創造と霊感』アーサー・M・アーベル著

(※本書は『我、汝に為すべきことを教えん』を改訳・再編集したものです。以下の文章は以前の版にもとづいて書かれたものです。)

ブラームスやR・シュトラウス、グリーグなど、19世紀末の著名な作曲家たちへ「霊感(インスピレーション)とは?」と問いかけた貴重なインタビューが収められています。 続きを読む »

レビュー『管弦楽技法』ゴードン・ヤコブ著

わずか120ページほどの本書の中に、管弦楽法のエッセンスが収められているのは驚くべきことです。著者の長年の経験から生まれた警句の数々は、今なお傾聴に値するものです。 続きを読む »

レビュー『日本楽器法』三木稔 著

日本楽器を用いた独自の音楽で知られる三木稔氏による、邦楽器(日本楽器、和楽器)版「管弦楽法」と呼ぶべき一冊です。日本の管楽器・抱絃楽器・伏絃楽器・打楽器それぞれの構造・調絃・演奏技術、そして実際の作曲への運用方法などが詳細に解説されています。 続きを読む »

レビュー『未聴の宇宙、作曲の冒険』湯浅譲二/西村朗 著

著者は共に現代音楽界で活躍を続ける作曲家であり、これまでに個性的な作品を世に問うてきた個性的な人物たちです。本書は、そんな両者が創作について縦横に語り合った、奔放な対談集です。 続きを読む »

レビュー『完本・管絃楽法』伊福部昭 著

出版以来、管弦楽法の最高峰としての地位を不動のものとしてきた名著であり、「管弦楽作品を書くためのバイブル」と呼ぶべき本です。自らが管弦楽法の名人でもある著者による内容は、その学者的な探究心と精緻な分析力によって、楽器法の詳説のみならず、音響効果、聴覚に与える影響、心理的効果までもが解説されており、ほかに類を見ない質とボリュームを併せ持っています。 続きを読む »

レビュー『音を投げる―作曲思想の射程』近藤譲 著

「線の音楽」という独自の作曲実践を通じて個性的な作品を発表する傍ら、音楽に対して根元的な問いの眼差しを向け続ける作曲家、近藤譲氏。本書は氏の二十年にわたる期間に書かれた評論をまとめたものです。 続きを読む »

レビュー『事典 世界音楽の本』徳丸吉彦/高橋悠治/北中正和/渡辺裕編

「世界音楽の本」という書名を見たときに先ず思い描くのは、ゴスペルやレゲエやラテン音楽、他には中東やアフリカ等々の世界中の音楽について、その音楽的特徴や成立過程の解説と参考音源の紹介がなされた本、各ジャンルの基本情報を網羅した本、といったところではないでしょうか。 続きを読む »

レビュー『音楽を「考える」』茂木健一郎/江村哲二 著

タイトルからは大上段に構えたシリアスな印象を与えますが、実際には平易な言葉によって柔軟で軽妙な対話が繰り広げられており、取っ付き難さはありません。本書が「ちくま新書」としてではなく「ちくまプリマー新書(学生や若年者向け)」として刊行されていることからもそれは伺えます。 続きを読む »

レビュー『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』岡田暁生 著

素晴らしい意欲作です。学問的な精密さや正しさを追及したものや、歴史人物たちの解説に留まりがちな音楽史の本の中で、本書は異彩を放っています。本書では“西洋(芸術)音楽”のことを「楽譜に記録された音楽」として捉えることを通じ、その各時代の社会情勢や社会構造、社会的・文化的階層をしっかりと踏まえ、音楽史の流れを大胆に物語っています。 続きを読む »

レビュー『クレーの絵と音楽』ピエール・ブーレーズ著

作曲における“秩序”とは、どういった意味を持つものなのでしょうか。秩序をそれ単独として思索するのではなく、そこからどの様な音楽を“演繹”するのかと問うたならば、秩序の遵守から生み出されるものとそれ以外のものとの“ゆらぎ”によって、結果として「秩序から多様性が生み出される」という事実に気付くものなのではないでしょうか。 続きを読む »

レビュー『ポピュラー音楽の基礎理論』ピーター・ファン=デル=マーヴェ著

本書の「イントロダクション」にもある通り、この本は表面的な様式的特徴、すなわちピッチ、テンポ、音量、楽器編成等など、ポピュラー音楽業界が黄金時代のヒット曲の数々を目新しく見せかけるために使ってきた一般的なあの手この手を、分析する本ではありません。 続きを読む »

レビュー『和声の歴史』オリヴィエ・アラン著

和声はハーモニーと呼ばれ、翻訳すると「調和」となります。本書では和声を機能和声(調性和声)の枠組みだけで捉えるのではなく、調和を表しそれを司るものとして、その歴史を辿ります。本書の言葉を借りれば、音楽の歴史をつらぬく長い線として、和声を見てみようということです。 続きを読む »

レビュー『音楽史17の視座』田村和紀夫、鳴海史生 著

歴史を紐解くということは、現在に至るまでの流れを理解することによって「今」を知り、そのことを通して普遍的なものを見付けること、と言えるかもしれません。音楽史を紐解く時にも、同じような欲求があるのでしょう。そして、それに答えてくれる音楽史の良書も世の中に存在します。 続きを読む »

レビュー『リズムの法則』ミッキー・アーンショウ著

リズムというものを、時間を区切る「パルスの連続」だと考えたとき、そこには「数」の世界とのつながりが見えて来ます。本書は、二進数の考え方をリズムに持ちこみ、単純なリズムに隠された可能性や、ポリ・リズムへの応用を説いて行きます。 続きを読む »

レビュー『音と音楽の基礎知識』大蔵康義 著

「音(音響)の基礎知識」という内容の本はよく見かけます。「音楽の基礎知識」という内容の本も同様によく見かけます。そんな中、その双方を一冊にまとめ上げたのが本書「音と音楽の基礎知識」です。 続きを読む »

レビュー『サウンド・エシックス』小沼純一 著

現在、身の回りに当たり前のものとして存在し、終始鳴り響いている“音・音楽”ですが、本書では、日常の環境の一部であるがゆえに見過ごしていること、一般的に省みられないことを丁寧に取り上げながら、「どこからどこまでが音楽なのか」という、いわば音楽の輪郭(へり)について問題提起をしながら、この著者独特の語り口で「音楽文化論」を説いていきます。 続きを読む »

レビュー『音楽のリズム構造』G・W・クーパー/L・B・マイヤー共著

西洋クラシック音楽を対象にしたリズム論の古典的名著です。“リズム”という概念の枠組みを明確にしつつ拡大し、音楽のリズム構造についての理論を体系付ける試みがなされています。実例(最後はトリスタンとイゾルデの抜粋)を取り上げながら分析を進めると共に、作曲におけるリズムの視点にも言及しています。なお、本書は1968年に出版されたもの新訳です。 続きを読む »

レビュー『音楽の認知心理学』リタ・アイエロ編著

認知心理学および教育学、美学などの専門家たちによる、音楽をテーマとした研究論文集です。教育学の章などでは、心理学の実験現場からのレポートとしての色合いが濃く、音楽の心理学的アプローチの実際を垣間見ることが出来ます。 続きを読む »